救急蘇生 ~いざという時に備えて~

心肺蘇生法の実習

心肺蘇生法の実習

 真夏の日差しがぎらぎらと照りつける猛暑の中、48回生は救急蘇生法を学ぶため夏季休暇中に登校し、講習を受けました。この講習は、神戸市消防局市民防災総合センターから本学院に出張講習に来て下さるというもので、神戸市が「市民救命士」を養成するために実施しているものです。講習会の種類は3コースあり、そのなかの1つの「普通救命コースⅠ(3時間)」を受講しました。これは呼吸や心臓が止まったときに必要な電気的除細動(電気ショック)を含めた応急手当などが習得できるコースです。1回の講習定員が40人以下となっているため88人の学生を3グループに分け、全3日間を費やして講習を実施しました。
 講習会では、まず学生は救急車が来るまでにどのようなことができるのかAEDを用いた心肺蘇生法の手順を分かりやすく説明したDVD を見て流れをつかみ、その後6~8人のグループに分かれ、より具体的な講習と実践が行われました。指導員(市民防災総合センター市民防災係研修員)のかたがたの言動のひとつひとつにこれまで救命に携わってきた経験からの重みが感じられ、学生たちも6月からの臨床実習で意識も高まっており普段にも増して真剣に講習に向き合っているように感じられました。
 実習は全員が必ず実践するということになっており、①安全確認②反応の確認③救急車とAEDの要請④呼吸の確認⑤胸骨圧迫⑥気道確保および人工呼吸⑦胸部圧迫⑧心肺蘇生法⑨AEDの装着およびショックの実施を流れに沿って実践しました。学生は実践となると大きな声や身振りで周囲に指示・要請していくことに難しさを、また正確な位置で胸骨圧迫を続けるには体力や筋力も必要なことを感じていたのではないかと思います。
 近年では超高齢社会のなか、訪問診療を行う開業医も年々増加しており、歯科衛生士も他職種との連携やチーム医療の一員としてなくてはならない存在となってきています。それに伴い突然の心停止に遭遇する可能性も増加しているので、本学院の学生たちもこうした実践的で今すぐにでも使える技能を習得するということはとても有意義なことです。実際に救命現場に居合わせたとき、どこまで躊躇せずに正確に実施できるかが人命を救うカギとなります。JRC蘇生のガイドラインでは呼吸の有無や心停止かどうかの判断に自信が持てなくても、心停止でなかった場合を恐れずに直ちに心肺蘇生を開始することが強調されていますので、常に冷静で正しい判断と行動が迅速にできるような学生を育てていきたいと思っております。
(専任教員 篠原理恵)