歯周病予防処置 ~相互実習で学ぶ~

 専任教員が担当している歯周病予防処置の授業では、2年次は主に相互実習を実施しています。基礎となる1年次のマネキン実習とは異なり学生相互の口腔内での操作ということで、より正確で丁寧な操作が必要となります。その中で、清潔・不潔の区別の大切さや、患者によって口腔内状態が違うことにより応用力が求められることも実感したようです。また、1年次にマネキン実習で習得した技術も相互実習で実践すると難しいことが多く、中には自主的に放課後や休講時にマネキンや相互での練習を行う学生もおり、向上心が垣間見えることもありました。

 1月からは、それまで勉強してきた知識と実習で得た技術を復習しながら、あらためて確実に習得することを目的として、全5回、約1カ月間に渡り同じ患者を担当して「検査・計画・施術・再検査」を行いました。学内での相互実習では、健康な口腔内の学生を患者にすることが多く、経過を観ても結果が出にくいこともあるため、まずは、患者への言葉掛けや施術の基本がスムーズに丁寧にできるよう実習を行っています。そこで普段は友達として接している学生同士ですが、実習時間中は、術者役は歯科衛生士、補助者役は一緒に働くスタッフ、患者役は本物の患者としてお互いに接するように指導してきました。会話は全て丁寧語で、患者に対しては専門用語を使わずに声掛けや説明を行います。実習当初は普段と違った接し方に照れがあったり、専門用語を頻用してしまうこともありましたが、少しずつではありますが自覚を持って自然に接することができるようになりました。術者と補助者との信頼関係がなくては、決められた時間内に円滑な施術はできませんが、これも回を重ねる毎にゆとりのある施術が行えるようになりました。実習を行ってみて学生は、何より患者とのコミュニケーション力の未熟さを痛感したようです。初診時のお互いの印象は臨床においても大変重要なので、学生の間に相互実習でお互いの話し方の良いところや、臨床実習先のスタッフのかたがたが患者へ話されている言葉遣いを学び、自分の言葉で伝えられるようになって欲しいと思います。また、事前に術式や使用器具・薬剤、注意すべき点を実習記録に記入し、予習・シミュレーションする訓練もしてきました。臨床に出れば、施術の手順や使用器具・薬剤に関して患者一人ひとりに合わせて考え、選ばなければなりません。プロとしての自覚を持ち自分で調べ、考え、選択できるようになって欲しいと考えています。

 3年次の4月と5月には、新入生を患者とした1年生指導の実習、6~ 11月には臨床実習本実習・施設実習もあります。2年次の相互実習の反省を活かして今後の実習や臨床実習に臨み、常に努力を惜しまない素晴らしい歯科衛生士になれることを期待しています。

(専任教員 都田結衣)