歯のスケッチ ~歯の形態を理解する~

 本校では1年次の夏期休暇課題として、口腔解剖学から歯のスケッチ課題を出しています。口腔解剖学講師と歯のスケッチの部位や流れについて打ち合わせを行い、国家試験出題傾向や、例年の学生の理解度を参考にしながらその年の方向性を決定します。そして4月の講義スタートと同時に学生に歯の模型(永久歯28本・乳臼歯片側DE4本)とスケッチ冊子を配付します。右側の乳臼歯を配付された学生は、永久歯は左側14本と乳臼歯4本をスケッチします。左側の乳臼歯を配付された学生は、永久歯は右側のスケッチとなります。学生は、口腔解剖学の準備教材として教本以外にスケッチセットも毎回持参します。講義の中で歯の特徴やスケッチのポイントを細かく教えていただき、学生は少しずつスケッチを進めていきます。また、スケッチを通し歯の形態を視覚的に理解するだけでなく、国家試験対策につなげていくためにも教本から歯牙の特徴をまとめます。口腔解剖学の講義日の放課後には、教室に残りスケッチや特徴をまとめながら復習をしている学生の姿を見かけます。夏期休暇後に提出したスケッチ冊子は、後日講師にチェックをしていただいております。また、あわせて歯の形態を理解できているかどうかの確認テストを9月頃に専任教員が行います。テスト内容は、①ペーパーテスト(歯の名称→歯式、歯式→歯の名称)②永久歯並び替えテストを行います。永久歯並び替えテストは、永久歯28本をばらばらにし、10分以内にすべて元通りに並び替えます。歯科衛生士として歯の形態を理解しておかなければならないため、1本の間違いも許されません。合格できるまでマンツーマンで専任教員がサポートし、繰り返し確認テストを行っております。1年次はマネキン実習がメインとなるため、まだ自分以外の口腔内は観察していませんが、入学後早期の段階から模型を通して歯の特徴を完璧にマスターさせております。

 私は本校の卒業生ですが、努力の勲章でもある歯のスケッチは今でも大切に保管しています。遠い昔の話ですが、スケッチや特徴をまとめることにより、講義内容とリンクし知識を深めることができ、楽しみながら課題を進めていた記憶があります。学生時代の経験を通して、歯のスケッチ課題や確認テストがあったからこそ、より知識を深めることができたのだと心から感じています。学生がひとつずつ確実に知識を整理するために、熱心に考えてくださる講師の先生がたに深く感謝するとともに、私ども教員も精一杯努力していきたいと思っております。

(教務副主任 永島由紀子)