1年生指導 ~初めての担当患者~

ブラッシング指導

ブラッシング指導

 本学院では、3年次の4月と5月の2回に渡り「1年生指導」という実習を行っています。これは、歯周病予防処置と歯科保健指導の2科目が共同で実施する実習で、3年生が1年生を患者として担当し、問診・検査・計画・指導・施術を行うものです。3年間の集大成といえる学内最後の実習です。そして、1年生にとっては患者役でありながらも、初めての実習です。

 まず、実習の1週間前に各学年でオリエンテーションを行い、実習の流れや注意点を説明します。3年生はいつも以上に熱心にメモを取る姿が見受けられ実習への意気込みが感じられました。

 そして、実習1回目の4月、3年生は少し緊張した面持ちで1年生の教室まで出向き、担当患者の1年生をフルネームで呼んで実習室まで誘導します。1年生は、3年生の先輩の凛々しい看護衣姿を見て緊張が増していたようですが、お互い精一杯の笑顔で接していました。

 学生は普段、同じクラスの友人同士で実習をしているため、声掛けや患者説明が疎かになりがちです。そのため、全ての患者説明を臨床と同様に専門用語を遣わずに行うことに苦戦している様子でしたが、決められた時間内でコミュニケーションをとり、問診、口腔内観察、バイタルサイン、う蝕活動性試験 (RDテスト、カリオスタット)、PCR、歯周ポケット測定などで情報収集を行い患者指導しました。そしてその情報を基に、歯科衛生過程に沿った業務記録を作成し、5月の2回目に向けて計画を行いました。一方、1年生は、5月までの間、3年生に指導してもらったブラッシング方法や生活習慣の見直しを実践し、口腔内状態の改善に努めます。

 2回目の5月。3年生は各々の患者さんに合わせたオリジナリティー溢れる指導用チャートを作成し前回の検査結果に基づいた指導を行い、更に、PCR と歯周ポケットの再測定、スケーリングと歯面研磨の施術をします。1回目に適切な指導ができ、1年生の口腔内状態が改善されていた3年生は、大きな喜びを感じられたようでした。しかし、口腔内の状態に変化が見られなかった3年生は、理由を考え反省し、再度患者指導をしていました。普段見られない3年生の顔つきに、今後の成長が楽しみに感じられました。

 この1年生指導を通じて、1年生は2年後の自分の姿を想像できたようです。そして、3年生は多くの経験をし、たくさんの反省をしました。これから始まる本実習では、これらを活かし成長してくれることを期待したいと思います。

(専任教員 都田結衣)