歯科診療補助 医療安全 ~手洗い実習~

 今年は新型コロナウイルスの影響もあり、手洗いの方法、手指消毒の方法が連日テレビでも報道されています。本校では例年、夏休み後に1年生は歯科用チェアを使用した実習が始まりますので、その時期に合わせて歯科診療補助の医療安全実習を実施しています。本年度は新型コロナウイルス感染予防のため正しい手洗い方法、手指消毒の方法を常に実施してもらうため、夏休み前に医療安全実習を行うことにしました。実習を行う前にWeb を使用して講義を行いました。Web 講義は教本を中心に、医療安全の概念から手洗い、洗浄・消毒・滅菌、各種消毒薬、グローブ、プラスチックエプロンなどの個人防護具(PPE)の装着・脱着、さらに医療廃棄物の分類まで約30ページの内容を学びます。次の実習がスムーズにできるよう教本だけでなく動画も用いました。
 講義後の実習は、密を避けるため実習室を2つに分けました。各実習室ではそこからさらに2グループに分け、合計4つの実習を行いました。
 1つ目の実習は普段の手洗いでどこまで汚れが落ちているかを確認するため、手洗いトレーニングボックスのグリッターパグを使用し、洗い残しの確認をしました。
 その後、教本に記載されている3つの手洗い方法である日常の手洗い・衛生的手洗い・手術時手洗いを実施しました。手洗い後は、アルコール製剤を用いての速乾性手指消毒の方法を行いました。
 2つ目の実習は、グローブ・プラスチックエプロンなどの個人防護具(PPE)の着用を行いました。着用後、学院で準備した歯科医院で使用される廃棄物の分類をグループごとに行いました。医療廃棄物の知識は歯科医院でも必須ですが、国家試験でも出題されることが多いので、しっかりと理解する必要があります。
 3つ目の実習は、滅菌物の取り扱い実習を行いました。滅菌物はこれから始まる相互実習に向けて取り扱いが増えてきます。滅菌バッグの使用、各種鉗子の取り扱いなどができるよう学院にある高圧蒸気滅菌器を使用し実習を行いました。
 4つ目の実習は、消毒薬の作製実習を行いました。学生は個人防護具(PPE)を着用し、0.05%クロルヘキシジングルコン酸塩液1Lの消毒薬を実際に作製しました。薬液作製後、歯科でよく使用される器具を数種類浸漬し、チェック表を用いてきちんと浸漬できているか確認をしました。浸漬する歯科口腔外科器具は、ほとんどの学生が初めて見る器具で、使用方法がわからないものもあるようでしたが、自分たちで相談し考えて浸漬をしていました。薬液の作製や希釈はスタンダードプリコーションを実施する上でどんな場面でも必要となってきます。
 今年は新型コロナウイルスの影響があり実習が例年通り進んでいませんが、学生には正しい医療安全と感染予防ができるように、これからも正しい知識と技術を学んでもらいたいと思います。教員も学内の環境整備や実習時の声掛けなどあらゆる面でサポートしていきたいと思います。
(専任教員 角田安佳梨)