歯科保健指導 ~Oral Care実習~

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実習風景

 今回は、2年次5月に歯科保健指導で行っているOral Care実習を紹介します。学生はライフステージ別歯科保健指導として、1年次後期には高齢者の特徴や歯科保健指導法をすでに学んでいます。実習開始前に40分程度時間をとり、1年次に学んだライフステージ別歯科保健指導の復習と口腔のケアの定義や義歯の取扱い方法、義歯洗浄剤や義歯安定剤の特徴や使用方法を説明します。講義後は、2グループに分かれて、口腔のケア実習と義歯の取扱い実習を行います。義歯の取扱い実習では、マネキンに装着している義歯の着脱練習、総義歯と部分義歯の清掃練習を行っています。

 2年次4月にはプレ臨床実習で義歯調整の症例も見学していますが、実際に義歯を取り扱うのは初めてであるため、慎重にひとつひとつ確認しながら実習にのぞんでいました。口腔のケア実習に関しては、今回は座位が可能な患者を想定し、車椅子で行いました。日常、自身の口腔清掃を行う際に使用している歯ブラシはなじみがありますが、粘膜清掃用のスポンジブラシは使用経験がないため、術者としての使用方法の確認だけでなく患者役を通し使用感の確認もできました。また患者役、術者役になることで「患者が安楽な姿勢をとるには術者としてどんな配慮が必要か?」など患者配慮を考えるきっかけにもなったようです。ほとんどの学生が初めて車椅子を取扱いましたが「突然動かすのではなく声をかけて動かすべきだ」など操作するにあたっての注意事項も自分たちで意見交換をしていました。今回の実習は2年次6月の歯と口の健康週間で高齢者施設に伺った際に小集団指導と義歯清掃がスムーズに行うことができるよう基礎的な実習のみとしていますが、口腔のケアの重要性については学生もしっかり理解しており、意欲的に実習にも参加していました。また本年度から3年次高齢者施設実習に向けて高齢者の口腔内を再現した歯科顎模型および口腔内以外の周辺機器と人体を再現したシミュレーター「マナボット」を導入し、実践的な口腔のケア実習を実施する予定にしています。

 歯科保健指導では臨床現場に出るまでに知識を得るだけでなく、コミュニケーションスキルを磨き、患者との信頼関係を大切にし、患者に合った対応能力を身につけ、患者に寄り添える歯科衛生士の育成を心がけています。臨床現場では凛とした姿で患者と向き合うことができるように、講義や実習を通して、たくさんの引き出しをつくってもらいたいと考えています。
(教務副主任 永島由紀子)