う蝕予防処置法 ~症例検討を通して学んだこと~

グループで症例発表

グループで症例発表

 1年次後期には、う蝕予防処置法を学びます。単元としては、フッ化物応用、小窩裂溝填塞法、う蝕活動性試験の講義・実習です。フッ化物応用では、講義後、3回の実習を行います。1回目はさまざまなフッ化物溶液を取り扱う実習です。2回目は集団応用としてイオン導入法を行い、3回目は相互実習で全顎フッ化物塗布を実施します。小窩裂溝填塞法では、マニキン実習と填塞済みの実物歯牙の観察を行います。

 う蝕活動性試験の実習では、唾液、プラークを検体としたさまざまな項目の試験を行い、自分の口腔内のカリエスリスクを調べていきます。別日程で「う蝕検討会」というカリキュラムを設けており、4~5人の班員で話し合い、最もカリエスリスクの高い学生を症例患者とし、グループで症例発表を行います。その症例発表に向け、班員で準備を進めていきます。

 本年度入学生から、全員iPadを購入しており、今回の症例発表は学生のiPadを使用し、Key Noteでプレゼンテーション用スライドを作成します。発表内容としては、①患者情報②試験結果③指導計画です。患者情報は、患者の生活背景や、問診票から読み取れる問題点、口腔内の状態などを細かく記載します。また、試験結果では、結果だけでなく、結果から考えられることをしっかり考察します。指導計画では、食生活指導、ブラッシング指導など症例患者に対し、自分達の考えた指導内容を細かくあげていきます。1人の症例患者から考えるということ、プレゼンテーション用スライドを作成すること、人前で発表を行うこと、すべてが初めてで戸惑いながらも、班員で話し合いを重ねながら作業を進めることができたと思います。今回のグループ発表で、チームでの協力、聴講者に対する発表の工夫、プラン立てなど多くのことを学んだことと思います。

 学生は卒業後、さまざまな場で発表する機会があると思います。その時に、困らないよう学内で土台作りを支援していくことも私たちの大切な任務だと考えております。社会に出たとき、ひとつでも多くの可能性を掴み、歯科衛生士として輝く姿で活躍することを心から願っています。

(専任教員 永島由紀子)