消防訓練 ~初心に返って~

煙体験

煙体験

 本校では年に1回消防訓練を行っております。これは消防法でも定められており、10月9日に実施しました。訓練では2階第2実習室から出火という設定でまず発見者が火災の発見を大声で知らせるところから始まります。火災ベルが鳴ると同時に教員は手分けをして消火器を持って初期消火活動にあたり、消防署に119番通報、学生を冷静かつ迅速に誘導しながら歯科医師会館東館地下駐車場に避難させます。ここまでが通報、誘導、避難、初期消火の一連の流れとなります。
 地下駐車場に集まった学生たちは、消防署のかたからスプレー缶や天ぷら油などの身近に起こりうる火災について色々なお話を聞かせていただいた後、各学年の代表者数人が水消火器を使用しての消火訓練を行いました。その後各学年にわかれて建物内に23カ所ある消化器、消火栓、避難はしご、非常ベルなどの避難設備を確認するというスタンプラリーと煙体験をしていきました。
 消防署のかたのお話によると、火災現場での死因第1位は煙による一酸化炭素中毒だそうです。煙体験は、においも苦痛もない安全性の高い成分を使用している疑似の煙を仮設テントの中いっぱいに充満させ、中に入って体験できるものです。隊員のかたの指導に従い、頭を低くしてかがんだ状態で壁をつたいながら進んでいくのですが、テントの中は真っ白で数センチ先も見えません。たった5メートルですが、方向感覚がなくなり、不安感が湧いてくるという煙の恐怖や煙から身を守る姿勢などを体感できたと思います。
 普段、本校で火を使うことはほとんどありませんが、地震からの二次災害、また火災原因の1位に挙げられている放火など、火災は予期せぬ時に起こるものです。火は短時間でみるみる大きくなっていきますので、初期消火活動ができるかは大きなポイントであると言われています。大声で叫べるか?消火設備の場所や使い方を知っているか?住所や電話番号、付近の目標物を言えるか?緊急事態が起こったとき、基本ができないと応用はできないと消防署のかたも言われていたのですが、簡単なことのように思えてもいざという時にはでてこないものです。毎年恒例のそして1年生にとっては初めての避難訓練であり、新任の私にとっても欠かすことのできない貴重な訓練となりました。万が一の時には冷静に判断し、お預かりしている大切な学生を迅速に安全な場所へ誘導する責任があります。初心に返って基本を学ぶこと、予測をして行動し、そして見直すことは今回の消防訓練に限らず普段から心がけていきたいと改めて思いました。
(専任教員 篠原理恵)