歯と口の健康週間 ~小集団指導から得たもの~

ブラッシング指導(川西市イベントで)

ブラッシング指導(川西市イベントで)

 本学院では、歯と口の健康週間にあわせて歯科保健指導における小集団指導実習を行います。本年度も2年生(48回生)は6月1日から6月20日まで、保育所(園)・幼稚園、小学校、特別支援学校、高齢者施設、川西市・伊丹市・明石市・東灘区のイベントへ赴き実習を行わせていただきました。
 実習を行うにあたり、学生は1年次2月から準備を始めます。班ごとに劇やペープサート(紙人形劇)を通して口腔衛生の大切さを伝えられるように台本や媒体を作製し、担当教員と何度も見直しを行い、練習を重ねてきました。そして、ライフステージに応じた指導ができるように顎模型を使用したブラッシング指導の練習や、義歯洗浄、口腔ケア演習を行いました。また、実習に出る前には本番を想定して学内で他学年に向けた発表会を行いました。この段階では、まだ台詞を原稿どおりに言うことで精一杯ですが、先輩からのアドバイスや後輩の新たな視点からの意見をもらい、媒体修正をしたり動かし方を考え、班員全員で協力して良いものに仕上げようとする姿が見られました。
 そして、いよいよ実習初日。不安や緊張を隠しきれない者や毎日の練習の成果を発揮しようと意気込む者など、それぞれの思いを胸に抱き各実習先で指導を行いました。実習終了後には毎回反省会を行い、自らの振り返りと指導者からのアドバイスを受け、翌日の実習に繋げていこうと努力していました。こうして初めて大勢の人の前に立ち、一生懸命に伝えようとする学生の姿は日を追うごとに自信に満ち、とても頼もしく思いました。
 イベントでは訪れた一般のかたに対し、ブラッシング指導やトレー法によるフッ化物塗布の準備と補助、歯科健診・相談の補助、歯垢染色と保護者への指導などたくさんの実習をさせていただきました。幅広い年齢層のかたが訪れるイベントでは個々に応じた対応や指導が必要となります。学生たちは指導する立場として相手に伝えることの難しさを感じ、どのように対応すればよいかを考える学内では経験できない貴重な実習となりました。
 小集団指導実習を通して学生たちは一生懸命に聞いてくれた園児や児童のきらきらと輝く目、一般のかたがたの笑顔、高齢者からの温かなお声掛けなどたくさんの宝物をいただき心に刻むことができました。この経験は歯科衛生士としていつまでも忘れられないものになると思います。一歩成長した彼女たちが、今の気持ちを忘れずさらに理解を深めて3年次の臨床実習本実習に取り組めるように、私も気を引き締めて学生教育に精進していこうと思います。
(専任教員 難波恵子)