臨地実習 ~障害者、高齢者施設で学ぶ~

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障害者施設使用媒体

 本校の3年次には病院、歯科センター、歯科診療所で延べ4カ月の実習(臨床実習本実習)を終えた後、11月に障害者施設、高齢者施設で各10日間の実習を行います。
 臨地実習の場では対象者の生活が臨床よりさらに広く大きく明瞭に見えてきます。学生はその背景を感じとり、分析し、口腔の健康を維持する支援策を考え、行動に移す後押しをしていきます。そして、さまざまな職種のかたと連携をとりながら業務を行うことが重要になっていきます。そのために対象者の情報の共有化や歯科衛生士の専門性の発揮、そして社会人としてのマナーが守れることが大切です。今までに培ってきた社会性や教養、道徳性などに加え、学習した知識や技能を応用展開していくようにと指導しています。
 障害者施設では昼食後のブラッシング指導の実施や媒体を使って集団指導を行うことにより、口腔衛生への動機づけや習慣づけを図ります。
 高齢者施設では要介護高齢者の口腔機能の向上とQOLの向上に必要な口腔のケアの技能を習得します。そのためには、情報収集を行い、アセスメントに基づく口腔ケアプランをたて、実施しなければいけません。

高齢者施設使用媒体

高齢者施設使用媒体

 学生は、事前に媒体作製などの準備をして、学内で口腔ケア実習を行い、臨地実習に臨みます。しかし、現場で目の当たりにする状況に、初めは上手く対応できない学生もいます。そのため、障害者や高齢者の口腔衛生指導に経験がある歯科衛生士を派遣し、学生指導をお願いしています。初めのうちは指導をうけながらの実習となる学生も、後半には自らで考え行動できるようになったという指導歯科衛生士からの報告を受けると、短い実習期間ではありますが学生の成長を感じて嬉しく思います。
 実習終了後はこれまでの学びを振り返る時間をとっています。学生1人ひとりが皆の前で実習の感想を述べるスピーチを聞くと、さまざまな環境での実習を通して学生は少なからず心が揺り動かされ、そこから学び得られたものは大きいと感じます。
 3年生は3月に国家試験を受験し、いよいよ卒業を迎えます。全ての実習で学んだことをもとに、患者さんの気持ちに寄り添える歯科衛生士になり、春から活躍してくれることを願っています。
(専任教員 山中美保)