口腔底がん

昭和の名大関「貴ノ花」として人気を誇った二子山親方が、平成17年5月30日に「口腔底がん」で亡くなられました。「口の中にもがんができるの?」と思っている方も多いようですが、口腔がんは、がん全体の1~2%で発症しています。口の粘膜に発生するがんを総称して「口腔がん」と言っており、口腔底がんはそのひとつです。舌の裏側に接する部分(口腔底)の中心部に発症することが多く、この部分には舌下腺や顎下腺の開口部があって、その下には舌下神経や舌神経があるため手術で大きく取ることができにくい場所です。また、両側の頚部リンパ節に転移することが多く、これも治療をやりづらいものにしています。

口腔がんはほかに、舌がん(舌のがん)、歯肉がん(歯ぐきのがん)、頬粘膜がん(頬の内側の粘膜にできるがん)、硬口蓋がん(口中の上あごにできるがん)があります。最も多いのは舌がんで、口腔がんの約半数を占めます。

舌ガン 下顎前歯部の歯肉がん
口蓋がん 頬粘膜がん

一般的には初期のがんでは痛みや出血などはあまり無く、舌や口腔底などの軟組織では、表面に潰瘍(粘膜のただれや欠損)を伴ってその周囲に硬いしこりが触れる場合が多いです。
自分の口の中に異常があったならば、自分で触ってみるとよいでしょう。まわりと比べて明らかに硬く触れる場合は、すぐにかかりつけの歯科医院を受診することをお勧めします。また、歯肉など骨の上にある粘膜では、潰瘍と白板症(粘膜の表面が部分的に白くなっている状態:前がん病変であることが多い)が注意を要する症状です。

舌がんの好発部位は舌の後方の側縁から口腔底にかけてで、舌の上面に発生することは稀です。かけてとがった歯や、金属をかぶせた歯あるいは入れ歯の辺縁が舌に当たって潰瘍や小さな硬い「しこり」をつくった場合は、長期間放置しておくとがんになる可能性があります。舌の奥の方にある通常では見えにくい有郭乳頭や舌扁桃はときには目立つことがあり、また舌側面の後方部分にある葉状乳頭も赤く不規則に腫れたように異様に見えるので、これらをがんと勘違いする方もいらっしゃるようです。

診断は、病変の表面を擦過して採取した細胞を顕微鏡で見る簡単な細胞診を行うか、病変の一部を切り取る病理検査を行って確定します。
(入れ歯や鋭利な歯などの刺激源を除去し1~2週間経っても治らなければすぐに受診を)

舌側縁部の口内炎

口腔がんは、唾液腺から生じる腺がんもありますが、多くの場合、粘膜を形成する細胞(扁平上皮細胞)から生じる扁平上皮がんです。扁平上皮がんの場合、早期のがんでは手術単独で治療できますが、進行したがんになると手術に放射線治療や抗がん剤を組み合わせた治療になります。治療成績は、がんの大きさ、リンパ節転移や遠隔転移の有無などによって異なってきますが、初期がんであれば5年生存率が70~80%で社会復帰している患者さんも多数存在します。

口腔がんは、酒とたばこが好きな人に多いようです。口腔粘膜への慢性刺激が良くないと考えられています。年齢的には50代以上の方に多いがんですが、20~40代にも見られます。早期発見、早期治療が最も大切です。毎日の歯磨きの際、お口のなかをチェックすることです。舌をだして鏡に映して、いろいろな方向から点検してください。粘膜に潰瘍や白斑がないかどうか、また、指で触れてしこりがないかも確認してください。

正常な口腔粘膜の病理組織像  口腔粘膜の扁平皮がん

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