
川柳作家やすみりえさんの気分転換は、歯みがき。
さすがに、美しい歯をしておられます。
若い女性の気持ちを五七五でさわやかに表現するやすみさんの句作への思いや、これからのことなどをお聞きしました。
ありのままの気持ちをさわやかに表現したい
会長 川柳というと、社会風刺や皮肉っぽいイメージが強いのですが、やすみさんの句に接して川柳の見方が変わりました。若い女性の恋心など、ありのままの気持ちを詠んでおられますね。
やすみ 子どものころから俳句や短歌、川柳という短詩形のジャンルがとても好きだったんです。いちばん影響を受けたのが、俵万智さんの『サラダ記念日』です。とても現代的で、女性の気持ちをさわやかに表現していらっしゃる。そんなセンスを真似したいと思って始めましたので、風刺や笑いをとるような五七五からは、少し外れた感じで作っているのではないかと思います。
会長 やすみさんの句集『平凡な兎』を読んでいると、多くの句から神戸の坂や街の情景が浮かんできますね。
やすみ やはり、生まれ育った街に思い入れがあり、自然と神戸の街を題材にしていますね。私が神戸出身であることを知らない方が句を読んで、「この坂道って神戸のことですか」とか「海が見えるって、神戸の港のことですか」とおっしゃることがあります。
会長 ところで、「記念日の好きな彼女のいるらしい」とありますが、「彼女が」ではなく「彼女の」としているのは、何か意味があるのですか。
やすみ よいところに目をつけてくださいました。これは、句を作るときの一つのポイントなのですが、声に出したときのリズム感がぐっとよくなるんです。手紙を書くときでも、「あなたがくださった…」というより「あなたのくださった…」とすると、とてもやわらかに相手の心にすっと入る。そんな魔法なんです。
歯みがきが大好きで気分転換に何度でもみがく
会長 歯や口のことを詠んだ句はありますか。
やすみ 新しい句集に入る一句で「恋でしょうクリアーグリーンの歯ブラシも」というのがとても気に入っています。恋をしているときは、身のまわりのものまできらきらと輝いて見えますよね。まして、透けるようなグリーンなら、気持ちまでフレッシュになります。
会長 「洗ったら白くなるかしら私」。これも印象に残った句です。白くなるといえば、きれいな歯をしておられますね。どのような手入れをしておられますか。
やすみ 歯みがきが大好きで、私の気分転換です。一日に何度となく、移動中でも場所と時間があれば、みがいています。歯みがきに関しては親が厳しかったですね。ありがたいことだと思っています。ところで、一年のうちで歯の日のようなものはあるのですか。
会長 ええ。まず、6月4日から一週間は「歯の衛生週間」です。それから、11月8日は「いい歯の日」。これらを中心に県下各地でイベントを実施し、無料健診や口臭測定などを行って歯と口のケアの大切さを呼びかけています。
やすみ そうしたイベントで川柳を募集するのはいかがですか。歯のことを詠むことで、歯について考える時間が持てますね。
会長 それはいいアイデアです。歯は本当に大切なんですよ。兵庫県歯科医師会では「口から始まる健康づくり」と題して、数年前からいろんなデータもとっているのですが、70歳以上の方で、歯がたくさん残っている方ほど入院の日数が少ない。歯以外の医療費も約20%安い。さらに、がんや循環器系の疾患が少ないことなどがわかっています。一般のお医者さんも、寝たきりの方が入れ歯を入れ、自分で咀嚼して食べ物を摂取するようになると、回復が早いと言われています。
やすみ 驚きました。まさに、健康は口からですね。私も、たびたび歯医者さんに足を運ぶようにします。忙しくても、先延ばしにはできないことですね。
句を詠む楽しさを多くの人に伝えたい
会長 川柳人口は増えているのでしょうか。
やすみ はい。川柳は紙と鉛筆だけでできますし、一人で楽しむのもよし、お仲間で集まってもよし。自分探しが今、ちょっとしたブームになっていますが、句を詠むことは何かと向き合う時間になりますので、いいのかもしれません。
会長 頭を使うこともいいですし、何より美しい言葉を大事にするところがいいですね。やすみさんご自身は、これからどんな作家を目指していかれますか。
やすみ 自分探しの時間としても句を詠むことを大事にしたいですが、どんどん外へも出て行って、その楽しさを伝える活動もしていきたい。今、文化庁のお仕事で小学生に句を教えていますし、定年後に趣味を探しておられる方々にも、こういう楽しい世界があることをお伝えしたいですね。
会長 言葉は「言の葉」。字は違うけれども、「歯」と通じるものがありますね。どちらも大切。
やすみ ほんとうですね。会長が先程作られたという「レントゲン心も痛みも写らない」。これも、人間模様が面白いですね。
会長 恐縮です。4月に新しい句集が出るとうかがっています。これからのご活躍も併せて楽しみにしております。今日はほんとうにありがとうございました。
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Profile
やすみ りえ
神戸市出身。軽やかで感性豊かな若手女流川柳作家として注目され、全国で活躍中。NHK大阪「ぐるっと関西おひるまえ」などテレビやラジオなどの選句も担当するほか女性だけの川柳会「ぷら★ねっと」を主宰。講演会や川柳教室も人気を集めている。著書に句集『平凡な兎』(JDC)、『やすみりえのとっておき川柳道場』(浪速社)ほか。 |
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