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八重歯はチャームポイントといわれた時代もありましたが、きれいな歯並びは見た目や顔の表情に大きな影響があるだけではなく、体の健康にとっても重要なものと考えられています。歯並びと矯正治療について考えてみませんか。


歯並びが悪いとなぜ困るのですか?

悪い歯並びには出っ歯や受け口、八重歯や乱杭歯、すきっ歯、上下の歯がすれ違いに咬み合う交叉咬合、上下の前歯が閉め合わせることのできない開咬などがあります。

 歯並びが悪く咬み合わせに不都合が生じると、食べ物がかみにくいだけではなく、発音にも支障をきたします。体の成長期では、歯並びが悪いと顎の骨の形成や、舌や唇の筋肉の働きに大きな影響を及ぼします。また、歯の凹凸が大きいと、歯の出ている部分で唇を傷つけたり外傷などで歯が欠けたりすることもあります。

 歯ブラシが届きにくいため充分な清掃ができず、むし歯や歯周病になる危険性も高くなります。歯が邪魔をして唇を閉じることができない場合には、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなり、歯周病にかかりやすくなります。

 見た目や機能的な異常などによって内向的、消極的な性格になることもあります。このように歯並びは心と体の健康を左右する重要な位置を占めています。


矯正治療って、どんなことをするのですか?

まずは患者さんの気になるところや希望をじっくりとお聞きします。次に歯の型取り、顔や口の中の写真、頭の骨や歯のレントゲン写真などから情報を得ます。これらの情報から上下のあごの大きさや形、位置関係、そして、前頭部、鼻、唇、下あごなど横顔の評価、舌の大きさと位置、歯の数、大きさや形などを詳しく調べ現状を分析把握します。この結果をもとに治療計画を立て、治療方法や治療の成果、期間、費用を説明します。

 矯正治療は、成長期における筋肉や舌の機能や骨組み的な治療を行う時期と、その後の歯の移動による治療に大きく分けられます。症状や年齢により同時に行う場合もあり、治療装置や治療時期もいろんなケースが考えられます。

 代表的な治療装置としては、それぞれの歯に金属やプラスチック、セラミックスなどで出来たブラケットという器具を装着し、それに通したワイヤの弾力や結んだゴムなどの力で徐々に歯を移動するものがあります。

歯列矯正では、歯を抜いて歯とあごの大きさのバランスを取ることがありますが、床矯正によって未発育なあごを広げ、歯を抜かないで歯を移動させる方法もあります。


期間と費用は?大人になってからでは遅い?

歯に適正な力をかけることによって歯の根っこの周りで骨をつぶす細胞が働き、移動した後には骨を作る細胞が働いて、歯は骨の中を抜け落ちることなく移動します。無理なく治療を続けるためには、ある程度の期間が必要になります。年齢や症状によって治療期間は異なりますが、永久歯の歯並びを治療する場合ですと、ブラケットをつけて積極的に移動を図る期間はおおむね2〜3年、その後、歯列の安定を図り後戻りを防ぐための装置をつける期間が2〜3年です。子供の治療においては個人差も大きいのですが、成長の終わるまでが治療期間と考えてもいいでしょう。

 費用については一部を除いて健康保険の対象外となります。それぞれの医院により、また症状や使用する装置によって費用が異なりますが、一般的に永久歯の歯並びを治療する場合で70〜80万円ぐらいからではないでしょうか?

 子供の頃は怖いとか時間がなかったなどの理由で矯正治療を受けるチャンスを逃したが、成人してどうしても歯並びを良くしたいという方が最近増えています。歯や口の状態は一人一人違いますが、装置や技術も進歩しており大人になってからでも治療は可能です。

 また、いつから始めるのが良いのかは一概には言えませんが、治療開始の時点で最善の治療を受けることができるように信頼できる歯医者さんに相談してください。

歯並びが悪くなる原因は何ですか。

悪い歯並びの原因は、さまざまです。

●悪い習慣による影響
乳歯のかみ合わせが完成する2歳半ぐらいから学童期にかけて、指をしゃぶったり、唇をかんだり吸ったりする癖があると、出っ歯や開咬になることがあります。2歳位までの骨のやわらかい時期に、一方向ばかり向いて寝たり、ほほ杖をつく癖があったりする場合も、あごの発育が妨げられて歯が正しい位置に生えないことがあります。

●乳歯のむし歯・乳歯が抜けずに残っている
乳歯は、永久歯が正しく生える場所を確保し、道しるべとなります。乳歯がむし歯になって早く失われると、隣の歯が動いて、永久歯が正しい位置に生えなくなります。反対に、乳歯がいつまでも抜けずに残っていても、永久歯の生え方に影響を及ぼします。

●永久歯の喪失
永久歯をむし歯や歯周病などで失った後、そのまま放置しておいたり、歯周病などで歯の根っこがゆるんだりすると、歯が動いて歯並びが変わってきます。

●その他
歯の治療のための詰め物やかぶせ物が合っていない場合や骨折、外傷などでかみ合わせが狂うことがあります。発育期の栄養障害やホルモン障害なども原因になることがあります。やわらかいものばかり食べることによる、あごの発育不良が原因になることもあります。また、遺伝による影響や、胎児のときの母親の栄養状態や生活習慣などが影響することもあります。



失った歯を人工的に回復する歯科用インプラントが日本に導入されて20年あまり。インプラントは英語で、「しっかり差し込む」という意味。しっかりかめて、耐用性も優れていることから、インプラントは乳歯、永久歯につぐ「第3の歯」といわれています。インプラントについて寄せられたご質問にお答えします。


インプラントのしくみと治療の流れは?

 簡潔にいうと、あごの骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込み、その上に、人工の歯を取り付ける治療法です。

 治療の流れは、まず、治療が可能かどうかを判断します。むし歯や歯周病があれば先にその治療を行い、あごの骨が少ない場合は骨造成を行います。

 その後、局所麻酔をして歯肉を切り開き、あごの骨を削って孔をあけインプラント体を埋め込みます。人によりますが6〜24週間後、インプラント体とあごの骨の組織がしっかりと結合したら、インプラント体の頭に人工歯を接続する土台を取り付けます。これで外科的処置は終わりです。そして、型を取って作っておいたセラミック製や金属製の人工歯を装着します。


安全ですか。ふだんの手入れはどうすれば?

 治療の前に十分なカウンセリングを行い、X線やCTで装着する部位や患者さんの全身状態をチェックしますので安心してください。また、インプラント体の素材は生体とのなじみがよいチタンで、長年の臨床研究で最も安全であり、あごの骨ともしっかり結合することが確認されています。手術については、やはり、経験豊富な専門の歯医者さんを選ぶことが最重要です。

 インプラントは自分の歯と同じように大切にしてください。インプラントを長持ちさせるには患者さん自身のホームケアが大きく左右します。手入れが行き届かないと、歯肉とインプラントのすき間から細菌が入って歯槽骨が減り、インプラントが抜けることもあります。定期的に健診を受けて指導を受けるとともに、かみ合わせの調整を行う必要があります。


費用はどれぐらいかかりますか?

インプラント治療は健康保険の適用外です。一般に、インプラント体は一本20万円から、セラミックの人工歯は一本10万円から。これに、手術料や骨造成料などが加わります。これは、およその相場ですので、患者さんの状態や使用するインプラントの種類、医療機関によって異なってきます。

 インプラントには、天然の歯のようにしっかりかめる、違和感がない、見た目が自然で美しい、隣の歯を削るなど周囲の歯に負担をかけない、などのメリットがあります。一方、ドリルで孔をあけるので痛みや腫れが出ることもありますし、骨の量や密度によって行えない場合もあります。きちんと説明を受け、他の治療法と比較しながらメリットもデメリットも納得した上で行うようにしましょう。

入れ歯やブリッジとの違いは?

●ブリッジ
失った歯の本数が少なく、残っている歯がしっかりしている場合に用いられる方法です。部分入れ歯に比べると安定していて、かむ力も回復できます。残った歯に固定する方法であるため、両側の歯を削らなければなりません。

●部分入れ歯
ブリッジのように両側の歯を削らなくてすみますが、バネがかかっている歯に負担がかかります。ブリッジに比べ、違和感が大きくなる場合もあるようです。支えになる歯が片側にしかない場合にも取り付けられます。取り外しができるので手入れがしやすいです。

●総入れ歯
歯ぐきの上にのせて安定しやすい形に作られた入れ歯。固定されたものではないので、かむ力は弱くなり、弾性のある食品をかみ切るのは困難です。ただし、インプラントが行えないような、骨が少ないケースでも作ることができます。